『機動戦士ガンダム』を全話語ってみる(第39話)
第39話 ニュータイプ、シャリア・ブル
脚本:山本優
演出:久野弘
絵コンテ:斧谷稔
1979年12月29日放送
-グッと来たセリフ①-
「わたくしには、閣下の深い考えはわかりません。
しかし、わかるように努力するつもりであります。
(シャリア・ブル)」
「それでいい、シャリア・ブル。
人の心を覗き過ぎるのは、己の身を滅ぼすことになる。
(ギレン・ザビ)」
-グッと来たセリフ②-
「シャリア・ブルという方、気になります。
(ララァ・スン)」
「なぜだ?(シャア・アズナブル)」
「その方は大佐のお立場をお考え下さるかどうか…。
(ララァ・スン)」
「そういうことは、ララァは気にする必要はない。
(シャア・アズナブル)」
-グッと来たセリフ③-
「~いや、わたくしは大佐のようなお方は好きです。
お心は大きくお持ちいただけると、ジオンのために
素晴らしいことだと思われますが(シャリア・ブル)」
-あらすじ-
ギレンから送られてきた木星帰りの男、
シャリア・ブルが、シャアの部隊に編入され、
ガンダムと対戦する話です。

1/550 MAN-03 ブラウ・ブロ (機動戦士ガンダム)
-感想-
「木星帰りの男」というと、「Z」の
パプティマス・シロッコを連想するのですが、この話、
ちょっと色んなことが説明不足なような気が。
結局、シャリア・ブルと、ギレンとキシリアの間で
何があったのかまったくわからないので、
どういう立場の人間なのか、いまひとつ
わからなかったりします。
戦闘力も、アムロ以上の認識力の
高さを持っていたように見えるので、
ブラウ・ブロでなければ、
もっと善戦できたような気がします。
ガンダムも、この時点でアムロの反応速度に
ついていけなくなっており、
ブラウ・ブロ以上のモビルアーマーで
あったら勝っていた可能性は高いと思います。
話の最後、この時点ではシリーズ化を
まったく考えていなかったとはいえ、
今後のシリーズ展開における一つの象徴が
シャアの口から発せられます。
「ララァ、ニュータイプは万能ではない。
戦争が生み出した、人類の悲しい変種かもしれないのだ」
なんか、「Z」では、間違いなく物語の一つの
テーマにはなっていたような気がします、この言葉は。
あと、この言葉は、「ニュータイプ」を「ガンダム」に、
「戦争」を「マーケットリサーチ」に、
「人類」を「ロボットアニメ」に
置き換えることも可能かと思います。
特に、5機のガンダムが登場し始める
背景とかを考えてしまうとね…。
(2007年12月15日初出)
-2020年1月24日追記-
今回は本文でも触れていますが、
グッと来たセリフ①、③、そして
シャア・アズナブルの
「ララァ、ニュータイプは万能ではない。
戦争が生み出した、人類の悲しい変種かもしれないのだ」
というセリフから次回作
「機動戦士Zガンダム」のテーマが
凝縮されたかのような話になっていましたね。
私の独断と偏見での話になってしまいますが、
今回の話は実質的な最終回だった、
ともいえる
『機動戦士Zガンダム』の
第48話と対になっている話のように思います。
この繋がりを考えると、ファーストガンダムにとって
最大の悲劇ってやはり"続編"が作られたような
気がしてなりませんね。
また、グッと来たセリフ②なんですけど、
ここ何回か触れていますが、無意識にせよ
シャアはララァを突き放すような
言い回しをしてしまってるんですよね。
この辺は、"逆襲のシャア"本編内のララァのいう
悪い意味での"純粋"ってことのような気がしますね。
あるいは、相手がララァであったからから故の
本性のようなものを晒してしまっていた、
からなのかもしれませんんが。


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