「ALWAYS三丁目の夕日」を語ってみる

実は、劇場で見たわけではなくて日本テレビ系列の「金曜ロードショー」で昨日(11/2)も含めて2回観ています。



記憶にないはずの昭和30年代が、どうしてこうも郷愁感を呼び覚ますのは謎ですが、鉄道ファン的には、カラーでC62や都電が動いているところに注目したりして。でも、あのカラーリングって、玉電と同じだったのかな?
とにかく、その時代をリアルタイムに経験していない世代にとっては、昭和30年代の風情や情景を思い浮かべるテキストとしては上出来だったのではないかと思います。



私が好きなエピソードは、酔っ払ってしまったときのお医者さんの夢です。
あの頃、おまわりさんも冷酷な事実を言わずに
「タヌキに化かされた」
なんて。
あの頃の人々は、そんな心遣いの出来るがおおらか人が多かったのでしょうか。



ただ物語的には、メインとなるべきいくつかのエピソードはどれも、どこかで聞いたような、観たような、という雰囲気であまり新鮮味は感じられませんでした。ひょっとして、そのあたりからもノスタルジーを感じさせるような演出だったのかな、などと思います。わりと、意図的だったのではないかな、と。



多分、この映画の主人公は、冴えない小説家の茶川(吉岡秀隆)だと思うのですが、私にとって最も懐かしく感じたのはこの茶川という登場人物なのです。
まるで、十年前の私自身を見るかのようでした。



そうです、私もかつて小説家になりたくて、昼間アルバイトをしながら夜間執筆活動に勤しむという生活を2~3年続けていました。
でも、結局素人の域から脱することすら叶いませんでした。
そんな自分にとって茶川という人物は、たとえあんな生活だったとしても、自分がどこか夢に描いたことを実現させていた人物だったのです。
正直言って、うらやましかった。



――貧しくても、夢を追いかけるだけで生きていけた。
確かに、最初の1年ぐらいはそう思っていましたが、収支計算は常にトントンで、ろくに執筆のための資料さえも買えないという現実にぶち当たると、夢だけじゃ生きていけない、ということを身に染みて思い知らされることになります。



そもそも、その手の挑戦は学生時代にやるべきであって、社会人になってからやるべきことじゃないというのが私の実感です。
この記事を読んでいるのが若い人だったら忠告しておきます。
学生の時には、やりたいと思ったことには全て挑戦すべきです。結果なんてどうでもいいんです。
色々挑戦してみて、自分の限界というものを若いうちに知っておくべきです。
失敗しても、やり直せるのは学生のうちだけだと思いますよ。



そうは言っても、思い立ったら突っ走っていっちゃうんだろうなー。
私もそうでしたもの、勝つことだけを考えていて、負けることなんて一切考えていなかった。



かつて、社会で起こった事件に対して一喜一憂していた私も、今じゃ女子アナの表情や語りを見ながら一喜一憂している…。
堕ちたものです。



それ故に、この映画のラストシーンを観ながら思うのです。
この夕日は、もう決して二度と帰ることの出来ぬ美しい日々を照らしているのではないかと。
そういう意味では、この映画のテーマは日本そのものが経験した「青春」を描いているように思います。



色々な意味を含めて、一度豊かさを知ってしまった以上、よほどのことがない限り、もうあの時代に戻れることは永遠にないでしょう。
あの時代が良いか悪いかということは別として――――




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